[最終更新日]2020/08/17
今回は膀胱やその周辺に障害があり、尿路変更術を受けた方や自己導尿を行っている方の障害年金を受給するケースを取り上げます。
これらの尿に関する排泄障害の方に対して、障害年金を申請する際のポイントを解説します!
尿路変更術・自己導尿とは
尿路変更術とは腎臓→尿管→膀胱→尿道という尿路を変更する手術の総称を言います。
例えば、子宮癌により下部の尿管が閉塞したときに、腎臓→体表または腎臓→尿管→体表という道を新設したり、癌で膀胱を摘除した後に、腎臓→尿管→回腸導管→体表または腎臓→尿管→S状結腸→肛門とする手術などがあります。
尿を溜める袋(パウチ)を取り付けると、そのパウチは週に1回程度取り換える必要があります。腸洗浄や代用膀胱の洗浄が必要になる尿路変更術もあります。
また、自己導尿とは本人が自らの手で尿道から膀胱内に細い管(カテーテル)を挿入し、尿を体外に排泄する方法です。一日数回の自己導尿により、感染の元となる尿を排泄することで尿路感染を予防し、腎機能を保護するための効果的な方法です。
尿路感染症や、腎臓機能の低下を防ぐ方法です。1日に3~5回行う必要があります。
尿路変更術・自己導尿によって障害年金を申請する際の注意点
膀胱に関する障害(尿路変更術)だけでは、等級としては該当をしても3級該当のみとなるケースが多いです。
自己導尿のみであったり、状況によっては3級の認定もされない時もあります。
等級の基準としては、人工肛門又は新膀胱を造設したもの若しくは尿路変更術を施したものは、3級と認定され、以下の場合は2級と認定されます。
・人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設したもの又は尿路変更術を施したもの
・人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害(カテーテル又は自己導尿の常時施行を必要とする)状態にあるもの
それ以外にも、全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等をより総合的に判断し、さらに上位等級に認定されることがあります。
ここから言えるのは、膀胱・尿に関する障害だけでは完全排尿障害の状態にない場合は3級までしか認定されず、国民年金加入者では障害認定を受ける事ができないという事です。
ただし、人工肛門を造設していたり、他例えば下肢に障害があった場合など、他で障害認定を受ける疾病があれば、それと合わせて申請する事で、2級以上の認定を受ける可能性があります。
他の疾患や障害について実際に関係しているものは診断書の中で記載してもらえるよう医師に確認を取った方が良いでしょう。
障害認定日のポイント
膀胱(尿)に関する障害は、通常の1年6か月の障害認定日が適用されないケースがあります。
それは
・人工肛門を造設し又は尿路変更術を施した場合はそれらを行った日から起算して6か月を経過した日
・新膀胱を造設した場合は手術を受けたその日
これらが、通常認定日である初診日から1年6か月を経過した日とどちらが先になるかを考えます。
また、人工肛門を造設し、かつ新膀胱を造設した場合は、人工肛門造設日から6か月経過日と新膀胱造設日のどちらか遅い方が認定日となります。
行った手術の種類やその時期によって障害認定日が変わってしまう可能性がある為、注意が必要です。
まとめ
膀胱(尿)に関する障害は、それらだけでは2級以上の障害認定が難しい為(完全排尿障害を除く)、他の障害や人工肛門の造設と合わせて申請ができるかどうか、
また障害認定日の取り決めに異なる点がある為、それぞれのケースに応じてご自身の障害認定日がどこからなのかを確認する必要があります。
複雑な申請となって、申請の準備が困難だと思われた場合は、お気軽に当オフィスにご相談ください。