過去の遡及支給分のみ請求する場合

[記事公開日]2017/12/14
[最終更新日]2018/02/02

障害年金の請求の方法には【事後重傷請求】【障害認定日請求】【遡及請求】と種類が分かれますが、イレギュラーな方法として表題のような請求方法の問合せが時々あります。

今回は過去の遡及支給分のみを請求する場合について検証します。

 

一般的な【遡及請求】とは?

障害年金の請求には、

【事後重傷請求】  ⇒ 請求後からの期間についてのみ受給する

【障害認定日請求】 ⇒ 認定日が請求日に近い事により、診断書も一枚で障害認定日まで遡り、さらに今後に向かっても受給する

【遡及請求】    ⇒ 障害認定日時点での診断書と、直近の現症日の診断書を提出する事で最大5年間、過去の障害認定日まで遡って受給し、今後に向かっても受給する。

大きく分けてこれらの請求方法に分かれます。

請求できるのであれば遡及請求をするに越したことはないのですが、過去の事なので、

当時のカルテは残っているのか?

当時は通院していたのか?

認定日時点での状態は障害認定等級に該当するのか?

 

などの条件をクリアして初めて、遡及請求が可能となります。

そして遡及請求が認められると、基本的に、認定日から現在までの遡り分の年金が一気に受給でき、今後に向かっての年金も受給する事になります。

 

過去の遡及支給分のみ請求するケース

それでは、今回のケースのように過去の遡り支給分のみを請求するというのはどういった場合かというと、

 

1【障害認定日請求】、【遡及支給】が今後についてのみ認定を受け、

障害認定日からの遡り請求部分を認定等級に満たないなどの理由で不支給とされた場合

 

⇒今後についての請求は現症の診断書で、過去からの遡りの請求は障害認定日時点での診断書を元に審査を受けますので、前者のみ支給とされ、後者は不支給とされる事も十分考えられます。

この場合は、不支給となった請求について、所定の方法で審査請求を行う事ができますが、表題のように過去の遡り支給分のみ、もう一度請求する事も出来ます。

ただし、一度不支給になっているわけですから、本人からだけでなくご家族からも医師と面談を行い、改めて症状などについて把握をしてもらい再度診断書を作成頂くなどの努力が必要です。

やり方を変えずにただ請求を繰り返しても、支給決定を受ける事は難しいと思われます

 

 

2【障害認定日請求】【遡及請求】について知らなかった場合

 

⇒疾患や障害をお持ちの方や、ご家族が自分達だけで請求を行った場合、過去の遡及請求についてのやり方を知らないまま【事後重傷請求】だけで請求してしまうケースが多く見られます。

この場合は、今後に向かっての請求しかしていない訳ですので、障害認定日からの支給を受けられる事はなく、過去の遡及請求分についてのみやり直す事になります。

 

手続き上の注意点

過去の遡及支給分についてのみ請求を行う場合も、一般的な【遡及請求】と請求方法は変わりませんが、省略できるポイントがあり、その内容は以下の通りです。

 

初診における受診状況等証明書

現症における診断書(障害認定日時点での診断書は必要)

病歴・就労状況等申立書の内、以前の事後重傷請求で請求した箇所についての記載

 

これらの省略は、どれも一度目の【事後重傷請求】にて請求を既に行っているからという意味合いです。

(前回請求した際の請求書や証明書、診断書のコピーは必要に応じて添付を求められるかもしれません)

 

一度認定を受けている年金証書の原本を添付して請求を行うわけですが、

過去の認定を受けている情報についてはそのまま遡及請求を追加的に進めるという考え方ですので、

前回提出した事後重傷請求の時と初診日を変更して請求を行う事はできません。

 

また、事後重傷請求として認定されている決定を取り消す為の取下げ届が必要になります。

 

まとめ

 

今回は一般的な請求方法ではなく、少しイレギュラーなケースの請求についての内容でしたが、障害年金の請求はそれぞれ請求者の方々の状況に応じて千差万別です。

 

その時その時の状況に応じて、より最適な請求ができるように準備を進めていく必要がある為、請求の進め方に疑問を持たれた方、不明な点がある方は、ぜひ一度当オフィスへお問合せください。