20歳前傷病の障害年金について

[記事公開日]2017/05/15
[最終更新日]2017/07/08

初診日要件のページにおいてご説明しましたが、傷病の初診日の時点で年金制度に加入をしていない状況でも、例外的に障害年金を受給できる場合があります。

それがこの【20歳前傷病の障害年金】というものです。

今回はこの【20歳前傷病の障害年金】についてご説明致します。

 

なぜ初診日の要件が満たせていなくて障害年金をもらえるのか?

20歳前傷病の障害年金現在の国民年金の制度では、国内にいる20歳~60歳の方々は年金制度に加入する必要があります。

会社員などで勤務しておられる方々は厚生年金の加入により、国民年金にも自動的に加入をしている事になります。

勤務をされていない場合は、勤務者の扶養配偶者として国民年金に加入するか、ご自身の申請により国民年金に加入し、保険料を支払わなくてはなりません。

初診日の時点でこれらの年金への加入要件が満たせていない方は、障害年金を受給する事ができません。

しかし、障害年金を申請される傷病というのは、20歳になって、年金に加入してから病院での初診日があるものばかりではありません。

子供の頃から通院・治療を受けていて、20歳を超えてから、障害年金をもらえる状態であると認定される場合もあります。

そういった方々も障害年金をもらえるようにしよう、そういった方々の初診日要件は満たしようがないから免除しましょうというのが、【20歳前傷病の障害年金】制度です。

 

【20歳前傷病の障害年金】の障害認定や申請方法

20歳前傷病の障害年金について20歳前傷病における障害認定日は、初診から1年6か月を経過している時は、20歳になった日を障害認定日とすることとされています。

(20歳となった日が初診から1年6か月を経過していない場合は、通常通り1年6か月を経過した日になります)

申請については、障害年金を請求できる日になっても年金事務所や行政からは特に連絡はありません。

制度を知らないというだけで、もらえたはずの年金が受けられないという不公平な格差が生じてしまいます。

もしかすると、医療機関、就労支援施設の方などが、制度についてご存知でいて、教えてもらえるかもしれません。

障害年金は、請求をしなければ決して受け取る事ができません。

20歳になったら、ご家族かご自身で請求、もしくは社労士へ依頼をしてください。

申請に必要な診断書についても、通常の申請と異なり、認定日『前後』3か月のものを添付する事や、初診日要件の新取扱にて第3者による証明のみで要件を満たす事が可能になった点など、【20歳前傷病の障害年金】は通常の障害年金の申請と異なる部分も多々ありますから、経験のある障害年金専門社労士に依頼をするのが安全です。

【20歳前傷病の障害年金】で申請できるのは、一般的には国民年金加入による、障害基礎年金である事がほとんどです。

ただ例外的に障害厚生年金を申請でき、障害基礎年金と両方受給できるケースがあります。

例えば高卒で就職し18歳から厚生年金に加入していて、その間に初診日がある場合です。

そして初診日が19歳にあった傷病などでは、初診日時点での加入している年金は厚生年金という事になりますので、申請も障害厚生年金の申請が可能となります。

 

【20歳前傷病の障害年金】の制限について

【20歳前傷病の障害年金】では障害認定等級が3級以下となった場合に支給停止となりますが、それ以外にも次のような理由で支給停止が行われます。

基本的に初診日時点での年金の納付要件が問われない制度である為に、通常の申請者よりも年金支給が停止してしまう要件がいくつか存在します。

 

受給者の前年の所得額

【20歳前傷病の障害年金】受給者の前年の所得額が一定基準よりも高い方については、加算年金額を除く年金の全部または一部が、その年の8月分から翌年の7月分までの1年間支給停止されます。所得を理由に支給停止される障害年金は、【20歳前傷病の障害年金】だけです。

支給停止される割合 受給者本人の前年所得額 扶養親族の加算額
1/2 3,604,000円 扶養親族1人、基礎控除38万円加算。
老人控除対象配偶者・老人扶養親族48万円。
特定扶養親族63万円。
全額 4,621,000円

所得の要件以外にも、その傷病において労災保険や他の制度から給付を受けられる時、また住所が日本国内からなくなってしまう(海外に移住する)場合などで支給が停止されます。