高次脳機能障害による障害年金受給について

[記事公開日]2018/01/08
[最終更新日]2020/08/17

近年、事故やケガを負った事などをきっかけに発症するケースが多い高次脳機能障害によって障害年金を請求する方々が増えています。

高次脳機能障害の疾患特有の請求の難しさ、注意点がありますので、請求準備の注意点などを参考にして頂ければと思います。

 

高次脳機能障害の特徴

高次脳機能障害とは、事故やケガを原因とする頭部外傷や、別疾患の脳卒中などによって、

重い意識障害に陥るような状態となり、治療を受けた後、

意識が戻り、歩行や食事ができるようになって、外見上は回復したように見えたとしても、

「会話がうまくかみ合わない」

「段取りをつけて物事を行うことができない」などの症状が現れ、

周囲の人に「人が変わった」、「怠け者になった」といった印象を受け取られてしまう事が多いです。

症状が進んでいる場合には、一般的なコミュニケーションや食事・排泄・入浴などの日常生活面にも影響が出たり、肢体障害を併発するケースもあります。

 

症状が重くない場合、これらの症状が日常生活や社会復帰に大きな支障となっているにも関わらず、一見しただけではわかりにくいため、

ご本人やご家族、さらには医療関係者等の間でも、この症状が脳の損傷の後遺症によるものであるということ、

そして、この症状にどう対応すればよいのか、といった事などが、なかなか理解されにくいというのが現状です。

 

代表的な症状として、【記憶障害】【注意障害】【遂行機能障害】【社会的行動障害】があります。

 

高次脳機能障害での障害年金の認定基準

高次脳機能障害で障害年金を受給する場合の、大枠の認定基準は以下の通りです。

等級 障害の程度
1級 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、

常時の援助が必要なもの

2級 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、

日常生活が著しい制限を受けるもの

3級 1.認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、

労働が制限を受けるもの

2.認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの

障害手当金 認知障害のため、労働が制限を受けるもの

 

高次脳機能障害は、症状性を含む器質性精神障害によって認定されます。

 

それぞれの症状を一見で「この等級」と見分ける事は難しい為、個別具体的に申請書や診断書の内容をもって判断される事になります。

 

診断書は精神疾患の書式を使用します

脳の器質障害については、精神障害と神経障害を区分して考えることは、その多岐にわたる臨床症状から不能であり、原則としてそれらの諸症状を総合して、全体像から総合的に判断して認定することとされています。

※ただし、診療科が多岐に渡る事が想定される疾患となりますので、受診されている科が小児科、脳神経外科、神経内科、リハビリテーション科等の医師が担当の場合は、それらの医師に精神疾患用の診断書書式に記載をして頂くという点に注意が必要です。

 

その上で、症状によっては肢体障害や失語障害がある場合は『肢体の障害』『言語機能の障害』用の診断書を別途で失語症の担当医師に作成してもらい、一緒に請求をする事になります。

 

請求者の日常生活能力の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。

また、現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること、とされています。

 

しかし、他の精神疾患と同じように、フルタイムで勤務をしている状態で2級の認定を受けるのは難しいと言わざるを得ません。

申請の際は、就労場所や日常生活上での困難な点(仕事や日常生活で困っていること、仕事や日常生活でどんな支障が生じているかを可能な範囲で具体的に)を医師によって診断書作成に反映してもらう事で対応は可能です。

 

高次脳機能障害での障害年金申請のポイント

実際の申請を準備する際のポイントとしては、まずは診断書の準備が重要になってきます。

 

診断書作成医師に対しては、単身生活を想定した場合、何ができないか、何が困るか、現在の生活において家族はどういった支援をしているか、どういった失敗や困難があるのかを細かく積極的に伝え診断書に症状を正確に反映してもらうようにしましょう。

 

高次脳機能障害で障害年金を請求する場合は、代表的に見られる症状の中でも、

【記憶障害】が重要度として高く、記憶力が低下している事が認定の上で大きな評価ポイントとなります。

(記憶障害の例)

・病院までの道順を忘れてしまう。

・それまでは行き慣れた場所にも行けなくなってしまう。

・自身で薬の処方を管理できず、都度用意してあげないと飲み忘れてしまう。

・財布をどこに置いたか忘れてしまい、家族が隠したと疑ってしまう。

・ちょっとしたことでイライラし激怒する。

・友人や知人の顔や名前を覚える事ができない。

・仕事でミスを繰り返し、職場を退職している。

 

 

また、日常生活上でどういった困難な点があるのか、という事を証明するには病歴・就労状況等申立書を作成し、その中で、症状が発生した頃から現在までの具体的なエピソードを用いて請求をする事ができます。

 

ただ、病歴・就労状況等申立書も、その作成に決まりごとやポイントがたくさんあります。

ご自身で請求を行い、等級が下がり少ない障害年金の年金額になってしまう不安があるという方は、ぜひともご自身で準備される前に、当オフィスにご相談ください。

 

まとめ

高次脳機能障害での申請は、疾患による不具合をどのように申立書に主張する事や、診断書に記載をしてもらう事がポイントとなってきます。

また、発症が事故による場合なのか、他の疾患の発症が原因なのかによっては、初診日の特定が難しくなるケースがあります。

 

ややこしい請求書類の準備や細かいチェック、診断書作成の為の医師との連携など、

ご本人様やご家族様にとって難しい作業はご委託を頂く事で、全てお任せ頂き、より最適な障害年金受給の請求を進めて頂く事ができます。

ご請求をご検討されておられる方は、ぜひ一度無料面談をお問合せください。