障害年金を受給する為には基本的なポイントが3つあります。
疾病の種類などの垣根を越え、障害年金申請全般における3大要件をご説明します。
① 初診日要件
② 保険料の納付要件
③ 障害認定日要件
障害年金申請の前に、これらの3要件について確認をする事は非常に重要です。
どれか一つでも要件を満たせない場合は申請が難しくなりますが、制度を詳しく理解しておくことで、対応可能な方法も見つかりますので、柔軟に捉え申請の道筋を考えていきましょう。
① 初診日要件
申請をする時は、初診日を日付まで特定して行うことになります。
この日付から、当時はどの制度に加入していたか、保険料を支払っていたかを確認し、受給できる障害年金が決定します。(障害基礎年金、障害厚生年金など)
初診日の時点でどの年金制度にも加入していないという事になれば、障害年金は基本的には受給できなくなってしまいますので、注意が必要です。
(例外的に、初診日の時点で20歳未満であって年金制度に加入していなくても受給できる『20歳前傷病の障害年金』という制度があります。⇒こちら)
初診日は非常に重要な要件です。
日付を特定するのに必要な証拠が足りていない、と書類不備として年金機構の認定部署から認定を却下されてしまうケースもあります。
特に最近では「現状の資料では初診日を特定できない」と却下されるケースが増えています。
審査請求時点や再審査請求時点でご相談を受ける場合でも、初診日が特定できないケースが増えており、一度こうなってしまうと後から覆すというのは非常難しくなります。
この初診日をどこで請求するかという点で、ご自身で申請をされた場合に、初診日特定の不備が原因で等級の低い受給決定になってしまったり、不支給となってしまうリスクがあります。
初診日特定の原則はカルテや診断書、クリニックでの診察券や障碍者手帳の記録などから証明を取る事ができますが、最近は第3者による証明も初診日特定に使用する事が可能となっています。
障害年金専門の社労士が申請する場合は、その初診日時期の加入制度によって受給できる年金制度を見極め、ご本人様にとって最適な申請方法を一緒に考えます。
ここの違いで年間の受給額が数十万円単位で異なってきます。
証明が難しいから、今手元にあるこの書類で出せばいいや、という『なんとなく』で提出をして、不支給となってしまわないようにしましょう。
(初診日がいつなのかわからない時、昔過ぎて証明ができない時の対応は⇒ こちら )
② 保険料の納付要件
初診日要件を確認した次は、この納付要件です。
年金制度に加入し保険料を支払っていたかを確認する要件なので、初診日要件と違って、確認は至ってシンプルです。
基本的には二通りで確認をします。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
このどちらかを満たせていればOKという事になります。
初診日のある月の前々月までとされているのは、前月までであれば急いで国民年金などの納付申請を行う事で、前月分の納付を可能とする事を防ぐためです。
つまり、障害の初診日がわかった時点からさかのぼって加入するという事はできないという事です。
ちなみに学生の方々が市役所などで申請を行うことで、国民年金等の免除申請をする事ができますが、その期間は未納扱いにはなりません。
免除の中でも一部免除(1/4、1/2、3/4)の免除者は、免除額以外の部分は納付ができていないと未納扱いとなりますので注意が必要です。
③ 障害認定日要件
障害認定日とは、 障害年金の支給を受けることができる障害の状態にあるかを判断する日付のことです。
原則として、初診日から1年6か月経過時点での状態を判断します。
しかし、既に障害の状態にあると判断される傷病であれば、その日が障害の認定日となりますので、初診日以後、障害の状態になっていても、障害認定日が来るまでは請求ができません。
※精神疾患(統合失調症、躁鬱病、うつ病など)の場合は、原則通り初診日から1年6か月を経過した後で請求することになります。
以下は初診日から1年6か月を経たずに認定される傷病のケースです。
腎臓の障害 | 人工透析を開始した | 3か月を経過した日 |
心臓の障害 | ペースメーカー・ICD(埋込型除細動器)・人工弁・人工血管・人工心臓を装着した | その日 |
心臓の障害 | 心臓移植の施術を受けた | その日 |
肢体の障害 | 切断した | その日 |
肢体の障害 | 人工骨頭・人工関節を挿入した | その日 |
肛門の障害 | 人工肛門をつけた | 6か月を経過した日 |
泌尿器の障害 | 新膀胱をつけた・尿路変更した | その日 |
言語の障害 | 喉頭を全摘出した | その日 |
肺の障害 | 在宅酸素療法を開始した | その日 |
脳血管障害(脳卒中・脳出血等)の後遺症 | 片麻痺など | 6か月を経過した後で医師が症状固定と認めたその日 |
蔓延性の植物状態 | 機能回復が望めないと認められた | その日 |
これらの障害認定日での障害の状況によって、障害年金の等級は判断されます。
(各疾患別の、障害年金認定によるポイントは ⇒ こちらからご覧ください)
統一的な判断基準はあるものの、「必ずこの等級になる」といった決まりはなく、診断書や申立書の内容を見ながら、日本年金機構にそれぞれの申請案件について個別具体的に判断されます。