年齢による障害年金不支給について(65歳以降の申請)

[記事公開日]2017/11/04

国民年金加入・厚生年金加入に関わらず、障害年金が申請できるのは原則20歳~64歳までの方です。

最近は65歳以上の方から「体に障害があるのだけど、障害年金は申請できませんか?」と、ご質問を頂く事がありますが、基本的には申請はできません。65歳を過ぎると、一般の老齢年金を受給できる年齢だからです。

ただし、例外として申請が可能な場合があります。逆に65歳未満の方でも申請ができない場合があります。今回はこういった年齢による申請のポイント、また老齢年金との関係について解説します。

 

障害年金が申請できる年齢

障害年金の申請は20歳を過ぎてから、65歳に達するまでの方が対象となります。

ここでいう年齢はその障害の疾病の初診日時点での年齢を言います。

(初診日に関する説明は ⇒ こちら の①から)

 

この初診日と認められる日付が64歳以下時点である必要があります。

なお、初診日が20歳未満であった場合には20歳に達してから【20歳前傷病の障害年金】が受給できます。

(20歳前傷病の障害年金については ⇒ こちら

 

ですので、初診日が65歳以上の疾病については障害年金を申請する事はできません

原則65歳以上の方は老齢年金が受給できます。そして年金は1人1年金ですので、同じ制度の中で老齢と障害で同時に年金を受ける事はできないからです。

 

 

65歳以降でも障害年金が申請できる場合

しかし、65歳以上の方でも例外的に障害年金を受給できる場合があります。

それは、申請時には65歳を過ぎていても、その疾病の初診日時点が64歳未満であって、障害年金の時効5年の中に申請する期間が残っている時です。

この場合は過去の65歳までの期間の障害年金申請を行い、65歳以降については後程記載する、老齢年金との調整を行う事になります。

 

 

64歳以下でも障害年金が申請できない場合

逆に、65歳に達していないにも関わらず、障害年金申請ができないケースがあります

それは、障害年金申請前に老齢年金の繰上げ申請を行っている場合です

 

老齢年金は原則65歳以降に受給できるものです。(一部、老齢厚生年金の特別支給分が65歳以前からもらえるものはあります。)

しかし、老齢年金には繰上げ・繰下げ制度といって、繰上げ支給の年金は受給する時期を早めるかわりに、年金額は減少し、逆に繰り下げ支給の年金は受給する時期を遅らせるかわりに、年金額は増大する、こういった制度があります。

繰り上げの減額率は0.5%で、繰り下げの増額率は0.7%です。この老齢年金の繰上げ・繰下げのどちらがお得なのか、についてはここでは割愛させて頂きます。

(受給者の方々の体調や持病、寿命の関係によってそれぞれ個別具体的に変わってくるからです。)

 

ただ、この制度を利用して65歳に達する以前から繰上げ受給として60歳前半から老齢年金を受給している方については、障害年金を受給する事が出来なくなってしまいます

老齢年金の繰上げ受給をすると、65歳に達していなくても65歳に達したものと『みなす』制度となっているためです。ですので、そういった方々は繰上げ受給を行うまでの期間のみ、障害年金申請が可能となります。

 

 

障害年金と老齢年金の調整について

次は、元々障害年金を受給していた方が65歳に達した場合の、それ以降の年金受給についてです。

初めの方で記載したように年金の受給は1人1年金です。同じ国民年金や厚生年金の中で老齢の年金と障害の年金を両方同時に受給する事はできません。

しかし、国民年金(=基礎年金と言います)と厚生年金で、それぞれ老齢と障害を組み合わせて受給する事は可能です。

これは、初診日時点で厚生年金に加入していた方限定ですが、厚生年金受給者は同時に基礎年金も受給をします。

 

その際に、

・ 障害基礎年金+障害厚生年金

・ 障害基礎年金+老齢厚生年金

・ 老齢基礎年金+老齢厚生年金

この3つの組合せから選択する事が可能となります。

受給額の違いについては、選択をする際に、年金事務所で記録照会を行って、比較検討する事が一番だと思います。

 

 

障害年金を受給していた人は、将来の老齢年金が減額されるのか?

最後に、表題のこの質問もよくお伺いしますが、

結論から申し上げると、障害年金を受給している事が原因で将来の老齢年金がカットされる事はありません。

しかし、カットされる訳ではないのですが、積立金額が減るという可能性はあります。

というのも、障害年金の1級や2級を受給している方は、法的にその受給期間については国民年金保険料が免除になります。(これを「法定免除」といいます)

つまり、この期間については、国民年金保険料を支払う必要がありません。

保険料を支払わないということで、その分について老齢基礎年金の額は、少しだけ減額します。

具体的には、老齢基礎年金の金額の計算の際、保険料の免除期間については、全額納付した期間に比べ、2分の1(平成21年3月までは3分の1)として計算されます。

 

ですので、保険料を支払っていない期間についてのみ、もらえる将来の年金も通常の半分になります。

【保険料が0円でも将来の年金を50%受けられる】なのか、

【法定に免除となったのに将来の年金額が影響を受ける(カットされる)】なのかは、

解釈の仕方なのかもしれませんが、その分障害年金を受給できるという点からも、デメリットとされるようなポイントではないかと考えられます。