がんによる障害年金受給について

[記事公開日]2017/06/20
[最終更新日]2017/07/08

様々な疾病で申請できる障害年金ですが、がんの症状でも障害年金を申請をできるという事を知らない方は少なくありません。

がんと障害という概念がつながりにくいからかもしれませんが、今回はがんによる休職や退職をする方々の状況や、がんによって障害年金を申請するポイントについてまとめていきます。

 

がん患者の状況(休職率、復職率など)

がん患者の状況現在、日本のがん罹患数予測は100万人を超えました(国立がん研究センター統計)。

がんは全身のどこにでも発生する可能性があり、日本人の2人に1人は疾患を経験すると言われています。

近年は早期発見ができれば完治も難しくないと言われ、がん種の中でも割合の多い胃がんでは内視鏡手術といった全身の負荷が少ない手術で対応し、早期に完治、職場復帰できるケースも増えています。

こういった場合は会社員の方々も有給休暇の保持日数内で対応できるのですが、すぐには完治できない状態の疾患の方は、長期の治療が必要となり、有給休暇の日数だけでは足りず、1か月以上の長期療養の休職が必要になる事が多く、離職に至ってしまう事も少なくありません

中小企業では病気休職の制度自体がない会社もあります。

仮に休職を取得でき、長期休職の後で復職できる事になっても、「当社ではフルタイムでの復職が原則だから、短時間の勤務しかできない場合は復職を認めるのは難しい」と回答されてしまいがちです。

そういった、治療のためにやむなく離職をされる方々に是非知って頂きたいのが、がん疾患も障害年金が申請できるという事です。

在職中は健康保険の傷病手当金を申請する事が多いのですが、申請期間限度の1年6か月経過後の所得補償は、障害年金を申請する事で対応をしていきます。(障害基礎年金については、傷病手当金受給期間中も申請可能です。)

 

がんによって障害年金を申請する際の注意点(認定の基準)

がんは障害年金の認定基準では悪性新生物による障害という分野に分類されます。

大腸がん、乳がん、子宮がん、肺がん、胃がん、肝がん、などがん全般が対象です。

悪性新生物(がん)による障害の程度は、組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像検査等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考にして、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1 年以上の療養を必要とするものとされています。

障害年金の等級基準は以下の通りです。

等級・制度 長期にわたる安静を必要とする病状
1級 著しい衰弱又は障害の為、身のまわりのことが出来ず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲が概ねベッド周辺に限られる状態
2級 衰弱又は障害の為、次に掲げる状態に該当する状態

(1)身のまわりのある程度のことは出来るが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出などがほぼ不可能となった

(2)歩行や身のまわりのことは出来るが、時に少し介助が必要で、軽労働は出来ないが、日中の50%以上は起居している

3級 著しい全身倦怠の為、次に掲げる状態に該当する状態

(1)歩行や身のまわりのことは出来るが、時に少し介助が必要で、軽労働は出来ないが、日中の50%以上は起居している

(2)軽度の症状が有り、肉体労働は制限を受けるが、歩行・軽労働・軽い家事・事務などは出来る

障害手当金

(3級までに該当しない)

(1)身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を

加えることを必要とする程度の障害を有する状態

 

がんによって障害年金を申請する際の注意点(障害認定日)

初診日障害年金でいう障害とは、初診日において国民年金あるいは厚生年金の被保険者期間中であり(もしくは加入可能期間の内1/3以上の未納がない事)、障害認定日とは原則として初診日から1年6ヵ月経過した時点の身体の状態のことです。

ただし、障害の状況によっては、1年6ヵ月以内であっても申請することができます。

また、がんの場合に理解しておきたいのは、人工肛門や新膀胱の造設、あるいは尿路変更術など、目に見えて身体の機能が変わった場合だけが障害年金の申請対象となるわけではないということです。

抗がん剤の副作用による倦怠感(だるさ)や末梢神経障害(しびれ、痛み)、貧血、下痢、嘔吐、体重減少など、客観的にわかりにくい内部障害の場合でも、その原因ががんの治療によるものであり、現在の仕事に支障をきたすことが認められれば支給される可能性があります。

この場合、がんの述語後遺症で障害年金を申請する際の初診日は、がんと相当因果関係があるとされ、初診日はがんの診断を受けた初診日が適用されます。

 

障害認定日が認められる時点の基準

身体状況 障害認定日
人工膀胱・尿路変更術 装着日
人工肛門造設 装着日
喉頭全摘出 摘出日
在宅酸素療法 療法の開始日
胃ろう等の恒久的措置実施 原則6か月経過日以降
治療の副作用による倦怠感・悪心・嘔吐・下痢貧血・体重減少などの全身衰弱 初診日から1年6か月

(通常認定)

 

がんによって障害年金を申請する際の注意点(診断書書式)

診断書書式障害年金の申請では医師の診断証明を、所定の書式の診断書に記載してもらい申請をします。この診断書の書式は種類が分かれていて、各種類に分かれています。傷病名が一つでも複数の箇所に支障が出ているのであれば、複数の診断書を提出します。

がんの障害年金を申請する際の使用する診断書書式は原則として『その他の障害用の診断書』使用します。

ただし、上肢下肢の切断や肢体障害、咽頭摘出、中枢・末梢神経障害の外部障害がある場合は、それらの外部障害が出ている箇所の診断書を提出します。

『その他の障害用の診断書』を提出するのは、全身衰弱(抗がん剤、放射線治療による副作用、倦怠感、嘔吐、下痢、貧血、体重減少)が主な症状である場合です。

全身衰弱と外部障害の両方の障害が出ている場合は、両方の診断書が必要になります。

診断書には、腫瘍マーカー結果、ステージ、TMN分類、治療内容、頻度、血液検査、画像検査、血液所見、体重など・・・・その他にも他項目を、日常能力の支障と具体的に記載してもらわなければなりません。

 

最後に

まとめがんの場合は、障害年金等級が認定された後、1年以内に急激に病状が悪化したとしても、受給権取得日または障害程度の検査を受けた日から1年を経過していなければ、額改定の請求が出せません。

「額改定請求の待機期間を要しない場合」に悪性新生物(がん)が除かれています。

不完全な申請準備で、これで合っているのか分からない状況のまま申請をしてしまい、不本意な結果の認定を受けてしまう事のないよう気をつけましょう

ご自身で申請を行って、等級が下がり少ない障害年金の年金額になってしまうのは困るという方は、ぜひとも申請をされる前に、当オフィスにご相談ください。