大動脈疾患による障害年金受給について

[記事公開日]2017/07/01
[最終更新日]2020/08/17

大動脈疾患といいますと、代表的なものは大動脈瘤や大動脈解離があげられます。血液を体の至る所へ送る大動脈の中で、胸部や腹部のどこでこれらの疾患が起こるかはわかりません。

 

ただし、これらの大動脈疾患は他の疾患と比較しても障害年金の認定基準が厳しく、症状も詳しく確認をする必要があります。

このページではそれらの認定基準や申請のポイントを解説します!

 

 

大動脈疾患について

大動脈疾患にあげられる大動脈瘤と大動脈解離について説明します。

大動脈瘤とは、動脈硬化などが原因で大動脈が弱くなることで大動脈にこぶのような膨らみができることをいいます。

この、こぶのような膨らみの大きさや破裂しやすいかによってその症状の危険度が変わり、また除去(手術)ができる位置にあるのかも重要になってきます。

 

大動脈解離とは、大動脈の壁に亀裂きれつが入り、壁が内膜と外膜とに分離されてしまう病気の事をいいます。

突然に発症することが多く、その場合は急性大動脈解離と呼ばれ、急性心筋梗塞と並んで、すぐに対処が必要な循環器の救急疾患です。

 

大動脈疾患によって障害年金を申請する際の注意点(認定の基準)

 

大動脈瘤や大動脈解離における障害年金の認定は、

  • 「人工血管挿入+労働に一定の制限がある」 または
  • 「大動脈疾患+難治性高血圧を合併したもの」

のどちらかに該当しなければ3級に認定されません。

つまり人工血管を挿入したという状態だけでは、3級認定もされないという事です。

(障害年金は、国民年金加入者であれば2級まで、厚生年金加入者であれば3級までです。)

診断書を書いてもらうときは、自身がこの障害年金の認定基準に合っている状態なのか、

内容の記述について医師と十分に相談する必要があります。

他の心臓疾患は2級、1級の基準を設けていますが、大動脈瘤や大動脈解離では3級の認定基準のみとなります。

ただし、

「大動脈解離+心不全」

「大動脈解離+心筋梗塞」など

他の病気などがある場合には、生活が大きく制限されますので、2級、1級が認定される可能性が出てきます。

他の病気の状態も併せて申請する事ができるのか、検討する必要があります。

 

申請のポイント(初診日や遡及支給)について

繰り返しになりますが、心不全症状や心筋梗塞を伴わない大動脈疾患のみですと、障害年金では3級にしか認定されませんので、初診日が厚生年金の加入中にあることが必要となります。

自営業や学生の方々が対象の国民年金では障害認定の等級は2級までだからです。

 

大動脈疾患の原因となった病気がその大動脈疾患自体の初診日より以前からあったときは注意が必要です。

この場合、その原因の疾患で初めて医師の診断を受けた日が初診日となりますので、大動脈疾患が起こったときは厚生年金加入中であっても、原因疾患で初めて診断を受けたときは国民年金加入中といった場合は、2級以上でないと認定されない国民年金で手続きを行う事になります。その他の症状や病気を確認し申請を行う必要があります。

 

遡及請求を行う場合は、診断書を、障害認定日時のものと、現在のもの、2つの時期の診断書を医師に作成頂き、年金請求書の「障害認定日による請求」というところにマークをつけて申請します。いわゆる認定日請求です。

 

この申請によって過去に遡って障害年金が支給されるかどうか審査されます。遡及が認められた場合、過去分が初回の支払いで一度に振り込まれますので、申請できる可能性があればぜひともチャレンジして頂きたいですが、通常の申請と異なりますので、申請の方法や診断書の内容など、専門的な確認が必要です。

 

どう申請すればいいのかわからないまま申請をしてしまい、本当はもらえるはずだった障害年金を、自身でみすみす取り逃してしまう事のないよう気をつけましょう

 

現在の状況から一番適正に障害年金を申請されたい方は、ぜひとも当オフィスにご相談ください。