[最終更新日]2020/08/17
今回は耳の疾患である難聴で障害年金を受給するケースを取り上げます。
難聴はその原因も様々で、聞こえにくい音や症状もパターンが分かれます。
これらの疾患に対して、障害年金を申請する際のポイントを解説します!
難聴の原因について
冒頭でも触れましたが、難聴の原因は様々です。
遺伝的なもので、家族や親戚に難聴者が多い、幼いころから難聴である場合。
交通事故など頭に強い衝撃を受けて脳や耳の器官が傷つけられてなる場合。
ストレスによるものや、老化が原因であったり、その原因は多岐に渡ります。
また、その症状も同じものばかりではなく、人によって聞こえにくい音の種類にも差が生じてきます。
障害年金の請求(申請)を考える時には、前述の難聴となった原因というのが、大きく影響を及ぼします。
それでは、難聴での障害年金受給の基準や、その請求(申請)方法について見ていきます。
難聴によって障害年金を受給する基準
難聴は聴覚による障害年金の障害認定基準に該当し、内容としては大きく分けて以下のようになります。
等級 | 状態 |
1級 | 両耳の聴力が100デジベル以上のもの |
2級 | ・両耳の聴力が90デジベル以上のもの
・両耳の聴力が80デジベル以上で、 かつ、最良語音明瞭度が30%以下のもの |
3級 | ・両耳の平均純音聴力が70デジベル以上のもの
・両耳の平均純音聴力が70デジベル以上で、 かつ、最良語音明瞭度が50%以下のもの |
この聴力の数値は、
『オージオメータ(JIS規格又はこれに準じる標準オージオメータ)によって測定したもの』
が必要とされます。
数値での客観的に判断されるものなので、わかりやすくはありますが、症状がその認定基準に達しているのかを確認する必要があります。
また、聴力の方ではなく、めまいなどによる平衡感覚の異常によって認定を受ける事も可能です。
・目を閉じたまま立ち上がれなかったり、立っている状態を維持できない
・目を開いた状態で少しの距離(10メートル)も歩けずに、転んでしまう
このような場合でも2級の認定を受ける可能性はあります。
難聴による障害年金申請のポイント
①の最後で述べた『難聴となった原因』が、障害年金申請において重要となってくる理由ですが、
障害年金は初診日において国民年金加入なのか、厚生年金保険加入なのかによって、受給額が変わってきます。
厚生年金保険加入での障害厚生年金申請の方が受給額は多くなります。
そして、その初診日での受診証明を請求者(申請者)の側から行う必要があります。
例えば
難聴となった原因が交通事故であれば、
その事故日が初診日となり、初めて受診された医療機関での証明が取得できれば大丈夫です。
初診日の時点で会社員として厚生年金に加入していれば、障害厚生年金での請求も可能となります。
しかし
難聴となった原因が先天性のものや遺伝によるもので、
さらに障害厚生の請求が何十年経ってからであれば、
その子供の頃から聴力が低く、症状が出ていたことを証明する事が難しくなります。
医療機関での一般的なカルテの保存義務は5年間ですので、何十年も前に記録やカルテは破棄されている可能性が高いからです。
こういったケースでは、市役所や年金事務所の窓口で
「初診日の証明が取れないなら、障害年金の申請(請求)はできない」
と言われてしまう事も多いです
(実際に私の所へ相談に来られた方もそう言われてあきらめていた、という方がたくさんいらっしゃいました)。
ですが、決してあきらめないでください!!
医療機関の証明が直接取得できない時も、その他の証明方法はたくさんあります。
最近は第三者証明だけで初診日の証明が認められたケースもあります。
初診日の証明が医療機関で取得できない際の対応については、
具体的な第三者証明の内容については、
後々、当事務所にご依頼を頂き、
申請(請求)時点では50歳代の方でも、生後9か月前後の初診(先天性のもの)を証明できたようなケースもたくさんあります。
最後まであきらめない事が重要です。
まとめ
難聴の障害認定は診断数値での判断となる為、その認定基準を満たしているかがハードルとなります。
また、聴力の基準がダメであったとしても、平衡感覚の認定は満たせていないか、複数の視点からチェックをする事が必要です。
そして、初診日の証明ができるかどうかですが、
過去に市役所や年金事務所の窓口で「あなたはもらえない」と言われた経験がある方も、ご依頼を頂く事で受給ができるようになった方はたくさんいらっしゃいます。
自分はやはりもらえないかもというようにお考えの方も、ぜひ一度お気軽に当オフィスにご相談ください。