障害年金を申請する場合は、初診日を証明する事が大事である事は述べさせて頂きました(詳しくは、『障害年金って誰がもらえるの?』①初診日要件をご参照ください)。
その中で元々の持病による疾病、子供の頃からの疾病など、詳しく初診日がいつなのか確認できない場合があります。そういった際に第三者証明が役に立つ事があります。
今回はその第三者証明について解説します。
初診日要件の必要性(医院での証明が取れない時)
(『障害年金って誰がもらえるの?』①初診日要件)で述べましたが、
障害年金申請を行う上で、初診日を証明する事は大変重要です。
その初診日の時点で加入していた年金制度によって障害年金の受給できる金額も変わってきますし、過去に遡って加入できるかどうかも変わってくるからです。
そしてその初診日の証明は、【受診状況等証明書】を以前の医療機関に作成してもらう事で、証明が可能となります。
しかし、初診日が昔過ぎて証明が取れない時やクリニックがなくなってしまっている時などは代わりに、
【受診状況等証明書が添付できない申立書】を作成し、
初診日の証明に認められるものを探して添付しなければなりません。
(詳しくは ⇒ 初診日がいつかわからない時の申請 をご覧ください)
第三者証明とは
初診日を証明する添付書類は多々ありますが、その内の一つに第三者証明があります。
これは三親等よりも遠い親戚や友人、職場の同僚などに、
その傷病に対して「私は〇〇さんが、その時期から障害を持っていたのを見ていました」もしくは「聞いていました」と証明をしてもらうものです。
書類で厚生労働省のひな型書式があるのですが、必要事項の内容が入っていれば、任意の書式でも受け付けてくれます。
また、作成はエクセルやワードでも大丈夫ですが、最後の署名・捺印はご本人にして頂く事が必要となります。
病院のカルテや診療記録は法定の5年で保存義務が終わってしまいますので、疾病によっては先天性(生まれつき)の障害の初診日を証明する際に、過去の記録が残っていなくて証明が困難となっても、この第三者証明が役に立つ可能性があります。
特に昔の初診日証明が難しいケースで障害年金申請を断念せざるを得ない方が多くいらっしゃったのですが
平成27年10月より施行された省令で、この第三者証明が証明の一つとして認定されるようになり、申請状況は良くなったように思われます。
第三者証明を準備する注意点
しかし、こういった使い勝手の良い第三者証明にも抑えておくべきポイントがあります。
まず、この第三者証明は複数人の証明を取得する必要があります。
医療機関の医療従事者(医療事務職員は除く)の第三者証明であれば、1人のみの証明も可能です。
ですので、当時のクリニックに勤めていた看護師さんや薬剤師さんなどの証明が取得できた場合はその方の証明だけで大丈夫なのですが、友人や職場の同僚から証明を取得する際は2人以上の証明を取得する必要があります。
次に、申請する障害年金の制度によっても扱いの違いがあります。
省令では、20歳前傷病の障害年金については、この第三者証明だけで認定される事があると明確にされました。
しかし、
20歳前傷病でない、通常の障害年金については第三者証明のみでは認定は認められず、他の資料と合わせて認定される事となっています。(障害者手帳や、カルテ、診察券など・・)
ですので、この第三者証明を複数人分取得できたとしても、それだけで初診日の証明は認定されないケースの方が多いのです。
ですが、複数必要な初診日の証明について、その内の一つを第三者証明で証明する事ができるようになったという事は、昔の初診日を証明する上で大事なポイントかもしれません。
どうしても他の記録が取得できない時に、例えば医療従事者の第三者証明が取得できた時など、これがあったから申請が受理されたと言えるようなケースも十分に考えられます。
「初診日が古いから申請してもダメだろう・・・」
「通っていたクリニックも廃業しているから無理だろう・・・」
とあきらめてしまう事も多かった以前からの疾病での障害年金申請について、近年の通達や新制度によって、昔では認められなかった所が、柔軟に変わってきた部分もあります。
ご自身の申請について、ダメかもしれないとあきらめてしまう前に、ぜひ一度当オフィスにご相談ください。